2020-08-16 10:30:22
加藤桃子 女流三段 vs. 甲斐智美 女流五段 女流王座戦
過去に加藤西山戦で指された攻め。
今から数年前の将棋世界に付録としてこの攻めが取り挙げられていたが、当時の私はあくまで奇襲戦法という見方をしていた。
今回、改めてソフトの評価値とともに研究してみた結果、この攻めは非常に有力だと自分なりの結論を下した。
私は最近、振り飛車(特に三間飛車)への対策に苦労しているため、この作戦も一考の余地があると考えている。
〈研究手順〉
4五歩に対して
①同歩 3三角成 同銀 4五角と進む。対して4四角は本譜のような手順で先手も指せる。4四角に代えて7二玉および7四歩も有力で(7二玉の変化は)3二角成 同金 4一飛 2二銀 4五飛成 5四角 5六竜 2七角打 同飛 同角成 3九金 3三銀 3六角 同馬 同歩 6二金 7七角 4三歩 3七桂4四銀 7八玉が一例である。
②4三銀の変化
4四歩 同銀 3六歩 4二飛 3七桂 7二玉 5八金右
3二金 4六歩 9四歩 9六歩 8二玉 7八玉 7二銀で通常形に戻す。以下5六歩 5四歩 4七銀 4一飛 6八金上
5三銀 3三角成 同桂 2四歩 同歩 同飛としてどうか。対して1五角には2七飛 2六歩 2九飛 2一飛 1六歩 2七歩成 1五歩 2八歩 3九飛 3七と 同飛 2九歩成 2三歩 2八と 1七角 6四銀 2八角 2三飛 2七歩
2四飛 3九角が一例で先手良し。
①・➁の変化ともに居飛車も指せる変化だと個人的に思っている。さらに追及すると仕掛ける前の4六歩に代えて9六歩 9四歩の交換が入っていると先手にとって9筋の攻めも絡めることができるため有益だと思う。(4六歩を突いてからだと後手はその攻め筋を警戒して9四歩と受けない指し方が生じる恐れがある。)
コンピュータ将棋の進化は私たちの将棋の常識を覆す力を持っていることを改めて実感した一局だった。
24七段 9307385a