2020-02-18 08:11:59
本田 奎 五段 vs. 渡辺 明 棋王 棋王戦
間違っているかもしれませんが悪しからず。
この手は直接何かに効くというよりも長い目で見て良くするという手で、手抜けば9四歩、同歩、9ニ歩、同香、9三歩という攻めが見え見えで玉も近く後手不利。
そこでひとまず少しでも角の効きを弱めようと6五歩ですが、そこで5七角というこの手順が狙いだったかと。
4四角と歩を取るても無くはないですが4一飛車と廻られて混戦模様、長考した後だからこそ更に考える局面にはしたくないでしょうし何より得があまり無さそう。
5七角は端しか効いてないですが、その端の効きを一手受ける必要があるということで、後手から手番と、形の悪さを得ます。
そして6五をつかせたことで6五桂馬というインスタントカウンターを消したことも大きいです。
そして、恐らくここからの狙いが4筋攻めです。
後手は右玉模様、攻めてくることはあまりないだろうが2ニの銀や隣の金を活用されると攻めが難しくなる。
そこで4五歩と付きたいのですが、素直につくようでは不安が少なく見積もって二つあります。
まず3五歩と打たれて跳ぶ前の桂馬を狙われること、これは普通にまずそう。
次に玉の近さ、4五歩に対してすぐでは無くとも4一飛車と回ってカウンターをする手があるので玉が5ニはカウンターが早く効いて決まりそう、この二つです。
しかし、前者は5七に角が4五歩をついたあと、3五歩を打てなくさせています。
更に後者の問題を解決する為に玉を7九まで移動させたいのですが、素直に動かしては6五桂が来るかもしれないのと、更に二手かかる為前者の3五歩をカバーする、或いは他の攻めをする前に硬くされてしまう(3三銀などから銀の活用)
これらを全てケアする為に長考した結果6六角を選択したのだと思われます。
この3手1組はただメリットを得るだけで無く、同時に自分の不利な点も補える、一石何鳥もある手でした。
本当に素晴らしい構想だったと思います。
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